Rena KUDOh 工藤玲那
Cup Flavored Drawing
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Cup
Flavored
Drawing
Rena Kudoh 工藤玲那
若手現代アーティスト工藤玲那によるドローイングシリーズをオンライン限定で紹介します
工藤玲那は1994年生まれ、東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース卒業し、陶器を中心に絵画やドローイングなど様々なメディアや素材を用いて表現しています。
国内はもとより、アメリカ、韓国、インドネシアと各地のアーティストレジデンスに滞在しながら、拠点を持たずにアジアを中心とした各地を横断しながら制作をします。
様々な土地を転々としているうちに混ざりあうアノニマスな記憶、捨てきれない幼い頃の自分、唐突な夢…、個人的な混沌をベースに、絵画や陶芸、ドローイングなどの表現で、見たことがあるようで見たことがない世界をつくり出しています。
現在は、韓国のClayarch Gimhae Museumでのグループ展やReborn-Art Festivalへの参加、京都のアートスペースVOU / 棒、NADiff a/p/a/r/t、韓国のLKIF galleryでの個展、塩竈市杉村惇美術館での展覧会など、着実にそのキャリアを積み、その活躍の場を広げています。
Cup Flavored Drawing
ARTIST STATEMENT
明るいうちは下を向いて歩きます。
メモとかレシートとか、人の残した痕跡を探すことが好きなので。
暗くなると、どうせ何も見えないので首が痛くならない程度上を向いて歩きます。
星の明るさに集中すると、暗い道の怖さから意識を遠ざけることができます。
信号も、街灯も星も点滅しています。
コンクリートの上を歩いているのにバカ(※)がズボンについてきます。
深夜に爆音でバッハをかける家を通り過ぎて、動物の鳴き声や走り去る音にビビりながら歩きます。
人が住んでるのに誰もいない、を体感するのが好きです。
みんなが寝静まった時間に活動して、みんなが起きている時間に寝る。
幸せを感じます。
不穏さが心地いいです。
工藤玲那
今回紹介する「Cup Flavored Drawing」は、陶器によるドローイング作品のシリーズです。
絵画作品におけるドローイングのような位置づけで、素材や造形、テーマなどの実験が行われています。
「夜」を中心的なテーマとした今回の一連の作品について、工藤さんとの対話からは宮沢賢治、石、時間といったキーワードを聞くことができました。
更に詳しく作品の制作の背景をみていきましょう。
夜に目覚める
「夜にあまり寝ないんです。」
工藤さんは、作品についての対話のなかでそうつぶやいた。
夜に散歩するのが好きで、
夜のひとりになれる感じがいいのだという。
本を読むとか作品を制作するとかと同じ、ある種、強制的に一人になる時間がアーティストにとって重要なのだろう。
現在の工藤さんの制作拠点も、星空がきれいに見える山に囲まれた場所にある。
今回の作品群で「夜」は中心的なテーマになっている。
作品を制作するにあたり、岩手県花巻市にある宮沢賢治記念館を訪れた経験が、影響をあたえているという。
銀河鉄道の夜
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」という未完の短編小説がある。
主人公の少年が、銀河のお祭りの夜を舞台に、友人と遊ぶこともできないほど生活が苦しい現実の世界と、銀河鉄道に乗り夜空を旅する幻想の世界が混じり合う物語である。
少年にとってのその「夜」は、美しい風景の旅路であり、電車に乗り合わせた人たちとの楽しい交流の場であり、そして友人との最後の別れの場でもあるという多様な意味をもつ。
「銀河鉄道の夜」は、アーティストの過ごす夜の時間とどこかリンクしているという。
それは自然の美しさでもあり、夜が包み込む静けさでもあり、少しの寂しさでありでもあるのかもしれない。
石
今回の作品では、陶器作品に石が埋め込まれているものがいくつかある。
もともと石が好きで、色々な場所で石を拾ってきて、家にもたくさんの石があるのだそうだ。
宮沢賢治の物語にも鉱物の記述が多くみられる。
幼少期から鉱物の採集に熱中し、地質学者でもあった賢治は、「銀河鉄道の夜」においても、印象的な石の描写を残している。
覗き込む地図は黒曜石でできており、河原の砂を「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」(注1)と表現する。
途中下車したプリオシン海岸では、黒くゴツゴツとした石、120万年前のくるみの化石を拾うシーンがある。
これは、日本で初めてバタクルミの化石を発見した賢治本人の体験と重なり合うものだ。
珪化木(けいかぼく)
石と陶器は元を辿れば同じものともいえる。
陶器の原料となる土は、石が風化し、削られ、風雨にさらされることで細かい粒子となり、土などの有機物と混ざり合うことで長い時間をかけて粘土へと変化する。
陶器と石、異なった素材を一緒に焼くことで、石の性質によって、割れたり、溶けたり、爆ぜたりするのだそうだ。
工藤さんは、石と陶器について、「石の時間」と「陶器の時間」と表現する。
価格について
しかし現代アートのドローイング作品としては決して高額ではありません。
価格はアーティストとも話し合いを重ね、これまでの実績や作品を制作する時間やコストを考慮して設定されたものです。
今回は、アーティストの多くの方に手にとっていただきやすいようにという思いから、紙にペンや木炭で描かれたドローイング作品の価格と比較すると、陶器のコレクターの方にもご購入いただきやすい価格に設定されています。
ご不安な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。