"エコゾフィック・アート" 四方幸子

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Title: エコゾフィック・アート 自然・精神・社会をつなぐアート論
Author: 四方幸子
Publisher: フィルムアート社
言語: 日本語
サイズ: 19.0 x 13.0 cm


科学からアニミズムまで
軽やかに越境し未来へと流動する──
しなやかなアート思考で
人新世を読み解く批評-エッセイ

30年にわたりメディアアートの第一線で活躍するキュレーターが、フェリックス・ガタリの“エコゾフィー(エコロジー+フィロソフィー)”をキーワードに、旅をしながら数々の作品を独自の視点でつなぎ合わせる現代アート探求!

エコロジーを自然だけでなく精神・社会にまで拡張するものとしてガタリが構想した「エコゾフィー」と、「社会彫刻」としてのアートという理念を掲げたヨーゼフ・ボイスを出発点に、動的システムや流動性を基盤とする世界観からアートと関わってきた四方幸子──時間・空間を超えた循環=「情報フロー」という独自の視点を携えてメディアアートの世界で新しい価値観を提示するキュレーションを実践してきた著者が、ポストコロナ時代の世界との向き合い方を模索しながら、非人間も含めた生態的環境を扱う数々のアート作品を紐解いていく。

動き続け絡まり合うものとしての世界を捉えようとするアーティストたちの思考は、人間中心主義を超えた共生的で創造的な未来へのヒントや、変容の中でのさまざまな存在同士の関係性への気づきを与え、著者が思い描くコモンズとしてのアートの可能性を開いていく。自然を見つめ、アーティストと交感し合う瑞々しい言葉、ひたむきに作品に注がれるまなざしとともにアートやフィールドを旅するような一冊。

【本書で扱う主なアーティストや思想家】
フェリックス・ガタリ、ヨーゼフ・ボイス、ラウリン・ウェイヤース、エレナ・トゥタッチコワ、深澤孝史、大小島真木、渡辺志桜里、飴屋法水たち、小宮りさ麻吏奈、ロバート・デイヴィス+ウスマン・ハック、三原聡一郎+斉田一樹+むぎばやしひろこ、村山悟郎、近藤テツ、木本圭子、池上高志+渋谷慶一郎、露口啓二、是恒さくら、アヨロラボラトリー、山川冬樹、進藤冬華、アバロス村野敦子、齋藤彰英、三原聡一郎、福原志保+ゲオアグ・トレメル(現:BCL)、上村洋一、高石晃、石井友人、鈴木昭男、シュー・リー・チェン、オードリー・タン、ツー゠トゥン・リー、Goh、高尾俊介、ALTERNATIVE MACHINE、新野圭二郎…ほか(掲載順)

奥野克巳氏(文化人類学者・『絡まり合う生命』著者)推薦!
四方幸子は、絶望的なまでに人間中心主義的につくられたこの世界で「人間と非人間のためのエコゾフィーと平和」への欲望と戦いを高らかに宣言する。山、石、空気、大地、水、人間などを、それぞれ中間項として、速度を上げて流れや現象を生み出すリゾーム状のネットワークの中で取り上げ、自然、社会、精神を循環させる共同創造へと私たちを誘う。アートを介して人間以上の世界につながるために。

目次
はじめに
第1章 道標──思想の源流を遡る
エコゾフィーとアート
未来へと接続されるボイス
第2章 フィールドへ──エコゾフィック・アート論
【森】
エコゾフィーの森へ
富士山から山々をめぐる
【生】
大小島真木──呼吸、空気……そして宇宙万象へ
翁を現代に召喚する
【渦】
螺旋の思考1 宇宙と生命の記憶
螺旋の思考2 持続というリズム
【水】
ポッシブル・ウォーター
遍在する水、越境する水
【地】
土地のテリトリーを超える
地底人とミラーレス・ミラー
【力】
鈴木昭男──世界の本源と共振する
南イタリアのエナジー
【電子】
ポストパンデミック時代に未来をフォークする
コモンズからNFTへ
第3章 創発へ──アートコモンズ展望
想像力という〈資本〉──来るべき社会とアートの役割
アートコモンズの実践「対話と創造の森」
おわりに

四方幸子(しかた・ゆきこ)
キュレーター/批評家。美術評論家連盟会長。「対話と創造の森」アーティスティックディレクター。多摩美術大学・東京造形大学客員教授、武蔵野美術大学・情報科学芸術大学院大学(IAMAS)・國學院大学大学院非常勤講師。「情報フロー」というアプローチから諸領域を横断する活動を展開。1990年代よりキヤノン・アートラボ(1990-2001)、森美術館(2002-04)、NTT ICC(2004-10)と並行し、インディペンデントで先進的な展覧会やプロジェクトを多く実現。国内外の審査員を歴任。共著多数。yukikoshikata.com