Title: "生命線−−隔てるもの、つながるもの"
Author: 江上越
Publisher: 美術出版社
言語: 日本語
サイズ: 28.5 x 22.0 cm
〈にじいろ〉の色鮮やかなストロークを自在にあやつりコミュニケーションのかたちを模索する、江上越。経済誌「Forbes Asia」が選ぶ世界を動かす30歳未満の30人「30 UNDER 30」に選出されるなどグローバルに活躍する彼女の画集を、日本語・英語・中国語のトリリンガル仕様にて刊行。
〈にじいろ〉のストローク画法から描き出す「コミュニケーションのかたち」を追求し続ける
大学から北京に渡り、ドイツ留学やニューヨークでの滞在など、エネルギッシュに活動する江上越。中国に縁の深い彼女が新作で描いたのは、作家・北方謙三氏との出会いによって生まれた『三国志』。2023年12月に京都 蔦屋書店で開催した個展では、劉備、曹操、孫権ら登場人物たちの肖像画、ダイナミックな合戦シーンを描いた大型作品が披露されました。
本書では、その『三国志』作品群に加え、ゴッホやマティス、梅原龍三郎、岸田劉生など江上が影響を受けた画家や文豪・哲学者らの肖像画、コロナ禍に制作した人間関係を新たな視線で捉え直した《Social Distancing》シリーズなど、彼女が一貫したテーマとして描く「コミュニケーションのかたち」をつまびらかにします。
江上の描く絵画の特徴は、代表作のタイトルにもなっている「にじいろ」を彷彿とさせる豊かな色彩と力強いストロークです。一つひとつの色が独立して存在し交わることなく続く一筆ひと筆の筆致は、空にかかる虹のように希望や光を感じさせます。その一方で、平行して伸びるストロークは人と人とのコミュニケーションのズレを可視化することに成功しています。絵画作品125点を収録した、美しさと大胆さ、そして思慮深さを表現した江上の作品世界を堪能できる一冊です。
【掲載テキスト執筆者】
北方謙三(小説家)/富井玲子(美術史家)、クリスティーナ・ユ・ユ(ボストン美術館アジア美術部部長)、張子康(新繹美術館館長)
江上越
1994年千葉県生まれ。アメリカ、中国、ヨーロッパなど国際的に活躍。2020年にForbes China、2021年にForbes Asiaにより世界を変える30歳以下の30⼈に選ばれる。同年、⽂化庁新進芸術家選出されニューヨーク派遣。アジアンアートプライズ2019ファイナリスト、2022年Net a Porter が選ぶアート界を変える世界の⼥性6名に選出、BEST ARTIST PRIZE 2023受賞。「東洋的な油絵」の探求やミスコミュニケーションをテーマに制作する。主な個展に「憑りつかれる魂」(ウッドワン美術館・広島、2023年)、「エントランス・ギャラリーvol.1 江上越」(千葉市美術館、2020年)、「Oriental Mystery」(HOW Art Museum・上海、2023年)、グループ展に「MISS DIOR EXHIBITION ミス ディオール展覧会 ある女性の物語」(六本木ミュージアム・東京、2024年)「Collection visit with Sam and Rachel Shikiar」(グッゲンハイム美術館企画プログラム、ニューヨーク、2021年) など。