展覧会:ライゾマティクス_マルティプレックス

2021年3月~6月まで東京都現代美術館にて、ライゾマティクス_マルティプレックス展が開催されました。(現在は閉幕。)ライゾマティクスとは、アートとテクノロジー領域を横断するコレクティブで、2006年の設立以降、高度な技術力と表現力を武器に、メディア・アート、広告、エンターテイメント等幅広い領域で、多くのプロジェクトを行ってきました。ソフトウエア、ハードウエアのエンジニアから、プログラマー、デザイナーといった各分野に特化した人材からなっており、企画から開発、インストールまで、全ての工程を一貫して自分たちで行うことができるのも特徴です。
 Perfumeのライブパフォーマンスや、ビョークやスクエアプッシャーのMV、野村萬斎さんの舞台演出、目に見えない動きをデジタルで可視化するフェンシングの大会の演出、ドローンのファッションショーなどニュースなどで見たことのあるイメージばかりだと思います。いつも驚くのが、動きと映像が自然に融合しているところです。人間の動きと3Dのモーション映像は、なかなか自然に一致しない印象があるのですが、ライゾマティクスさんの演出は自然に見えるところが怖いと思うところです。裏にある技術力は半端ないです。。

 

展覧会は以下のような構成になっていました。
エントランス: 今回図録の表紙にもなっているメインイメージ

最初の展示室: 
 データ可視化のプロジェクト。NFTの取引データを可視化し、作品のサムネイルを取引情報の更新にあわせて表示、無数の画像の海に取り込んでいくという趣向でした。逆の壁には証券取引のデータを可視化させています。
普段意識することのないインターフェースの裏側に流れる大量のデータを、目に見える形で我々の前に提示するひとつの手法を見ました。

ELEVENPLAY×ライゾマティクス“multiplex”
 新作の展示でした。同作品は2段階での体験が可能で、まずはダンサー、キューブのロボティクス、映像が融合された映像作品。続く部屋へ足を踏み入れると、先程の映像作品のダンサーがいないバージョンを実際に見ることができます。自動で動くキューブと映像のコラボレーション。部屋のサイズは横30メートル近いと思われるので圧巻でした。


これまでのプロジェクト紹介
そのあとのスペースでは、多数のプロジェクトの紹介が映像や実際に使われたハードウエアと共に展示されます。こんなにも多様なプロジェクトがあったのか、と驚きます。来場者も一つ一つしっかり見ている方が多く、結構混雑してました。見そびれてしまった展示もいくつか。。

出口近くの吹き抜けの展示室
 アルス・エレクトロニカのインタラクティブ・アート部門で入賞した作品「Particles」が圧巻の展示でした。暗い空間を巨大な枠組みのなかで動き回る光るボールは、現実の空間に3Dの映像を施したかのようでした。ボールが動いた奇跡が見えるので、空間にさっと線を引いたみたいなんですよね。

最後の展示室
こちらではまさにプロジェクトの裏側を見せてくれています。かなり面白かったです。最初の展示室で可視化されていたデータの生データが流れていたり、実際に使っているソフトウエアが見れたり。

 図録が大事だな-と思うのは、展示で見た印象を定着させるのにとても役立つから。作品を実際見るのは本当に大切なのですが、印象が強くなるので、作品が制作された過程とか、アーティストの考えていることとか、キュレーターの意図とかを帰ってじっくり紐付ける作業が必要な気がしています。
図録入荷してます。こちらから>>


 ライゾマティクスの展示は、テクノロジーの幅が非常に広いので、メディア・アートというと少し幅を狭めてしまう言い方かもしれませんが、メディア・アートについてもっと知りたい方にはこれまでに刊行されている書籍を集めてみましたので、あわせて参考にしてみていただけたら嬉しいです。
メディア・アート特集>>



参考資料:
「ライゾマティクス_マルティプレックス」東京都現代美術館監修、フィルムアート社
ライゾマティクスウェブサイト (https://rhizomatiks.com)