コレクション: 牛木匡憲
牛木匡憲さんは、日本の1980~90年代のアニメ、特撮、玩具などの表現をベースにユーモラスなものからファッションを意識したものまで、現代の時代に合わせた表現で活動するアーティストです。
幼少期に自宅の向い玩具屋があり、父がキャラクターグッズなどを扱うファンシーショップを経営していたことから、1980~90年代の日本のキャラクター商品に囲まれて育ちます。このことが日本のサブカルチャー、主にキャラクターをベースにした表現を生むきっかけとなります。さらに少年期にスポーツに打ち込んでいた経験は、”戦い”や”スピード”、”身を守るものを身につける”という概念と結びつき、度々キャラクターのポーズやコスチュームのなかに登場します。こうした幼少期の経験をベースに、ユーモアあふれるシニカルなものからファッション的な表現まで、特定のシンボリックなイメージを作らないスタイルで、国内外の展覧会やクライアントワークを行っています。
2016年から始まった、instagram上で1日1点のキャラクターポートレートを発表する『VISITORS』のプロジェクトは、現在4万人近いフォロワーを集め、書籍やグッズ化によって更に多くのファンを獲得しています。
『VISITORS』には、街で見かけるような女の子や、セクシーな唇のカエルのようなキャラクターが蝶ネクタイをしているかと思えば、タコの髪の毛の女性がいる。ロボットやアニメのキャラクターのようなものまで。ここではあらゆるモチーフが分解され、当たり前の組み合わせを否定し、ある種のパーツとして再構築されます。人間、動物、妖怪のような異形のものや食べもの、機械、マンガやアニメの1場面にいたるまで、アーティストが幼少期に触れたキャラクターたちは等価なモチーフとして、アーティスト自身の中で混ざり合い、現代のファッションやストリート的な時代性を絡め取って、キャラクターとして新たなイメージとして表出します。生み出されたキャラクターたちは、1980~90年代のサブカルチャーという既視感と共に、私達が思ってもみないイメージとなって、リアリティーをもってたち現れます。
本やステッカーなど手に取りやすいグッズもたくさんありますので、ぜひ身近で楽しんでいただけたら嬉しいです。
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