新入荷のお知らせ
最近入荷した本を紹介します。今回は批評や美学の本が多く入荷しています。
「デレク・ジャーマンの庭」デレク・ジャーマン
「批評の『風景』 ジョン・バージャー選集」
「崇高と美の起源」 エドマンド・バーク
「パンクの系譜学」川上幸之介
「デレク・ジャーマンの庭」デレク・ジャーマン
映像作家であり、園芸家でもあったデレク・ジャーマンの没後30年を記念して、名著「Derek Jarman's Garden」が製版のデジタルリマスターに加えて、美学者で庭師でもある山内朋樹氏の新訳で復刊しました。
1994年にAIDSで亡くなったジャーマンは、晩年をイギリス東南部に位置するダンジネスに移り住む。原子力発電所にほど近い、荒涼とした海岸線の続く場所にあった印象的な漁師小屋を買い取り、「プロスペクト・コテージ」と名付け、庭を作っていく。
ハワード・スーリーの写真と共に、ジャーマンの晩年の日々が綴られている。
「批評の『風景』 ジョン・バージャー選集」
『水晶やケシの花を
美しいと思うとき、
私たちは孤独ではない。』 ジョン・バージャー
美術批評家であり、小説家、詩人、ジャーナリストでもあったジョン・バージャー(1926-2017)の批評集が入荷しています。
美術を学ぶ人にとって「イメージ 視覚とメディア」や「見るということ」といったバージャーの著作はとても馴染み深いものだと思います。視覚文化論、写真論といったジャンルでは、必ずといってよいほど参考文献にあがるほど、重要な本です。
作家、活動家のレベッカ・ソルニット(#MeToo運動のさきがけとなった著作「説教したがる男たち」などが有名)や、世界的なキュレーターであるハンス・ウルリッヒ・オブリスト、韓国の詩人キム・ソヨンなど、多くの有識者がその影響を語っています。
そんな著者の批評集は、初期から晩年に至るまで、美術批評、エッセイ、文芸評論、追悼文まで幅広い文章が集められていますので、ところどころ拾い読みするのも楽しいと思います。
「イメージ 視覚とメディア」や「見るということ」もぜひこの機会に読んでみると面白いと思います。"みること"について普段どれくらい無意識でいるか、はっとさせられます。
黒鳥社さんからジョン・バージャーの「第七の男」も刊行になっています。こちらもあわせてどうぞ!
「崇高と美の起源」 エドマンド・バーク
アートには美学という領域があります。美術の歴史とは別に、美や芸術の本質や根本を支える法則などを体系的に研究する分野です。「美とはなにか?」という問いは古くから哲学者を魅了する問いでした。現在も美学が哲学科に含まれている大学も多くあります。
この本は1757年に書かれた本で、西洋美学において重要な「崇高」という概念を「美」と対比して説明しています。「崇高」は高い山をみたときのような、巨大さや恐ろしさに出会ったときの感情と結びつけて考えられています。この概念はカントに影響を与え、18世紀末から19世紀にかけてロマン主義においても重要な概念となっていきました。
また20世紀の後半にも再度「崇高」という概念が再び脚光を浴びます。アメリカの抽象表現主義の分析に使用され、現在もこの概念は多くのアーティスト、研究者によって研究されています。
平凡社より、コンパクト判が発売されましたので、美学に興味がある方は、一度手にとってみられると面白いと思います。
哲学というとハードルが高いですが、「目新しさとは」「恐怖」「曖昧さ」といった短めのエッセイで構成されており、250年以上前に書かれた古い本とは思えないほど、納得できる部分も多いものです。意外と人の感性は変わっていない部分も多いことがわかると思います。
「パンクの系譜学」川上幸之介
「Punk! The Revolution of Everyday Life」展や「ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム!」展といった話題の展覧会をキュレーションしてきた著者が、パンクの歴史を一冊の本にまとめています。
パンクの抵抗の歴史や社会状況から、思想的な背景を語り、正史とされる白人男性のパンク史だけでなく、周縁とされるクィアやアフロパンク、アジアのパンクシーン、さらにアートとパンクの関係も丁寧に紐解いていきます。
ボリュームはありますが、文章はとても読みやすいので、興味のある章から読んでみると楽しめると思います。
ぜひこの機会に手にとってみてください。
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